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相続手続きと弁護士
 

相続争いは弁護士へ依頼しましょう

ここまで相続手続きにおける行政書士と司法書士について簡単に説明したきましたが、今回は弁護士の相続手続きについて説明したいと思います。

一般的に弁護士の仕事と言えば、裁判所での裁判を思い浮かべると思いますが、実は弁護士は広範囲な権限を法律で認められており、業務も多岐に渡ります。その業務中に当然相続手続きに関することも含まれています。

どのような場合に弁護士に相続手続きを依頼すれば良いのか、またメリット、デメリットは何かを簡単に説明したいと思います。

弁護士の看板業務である裁判の代理

弁護士は、裁判について原告又は被告の代理人になることができます(両者を同時に代理することはできない)。裁判での代理をできるのは法律で弁護士のみしか認められていません。

これは相続においても同様で相続に関して、相続人間で争いが生じ、話し合いでの解決ができなくなり、事態が紛争化した場合は裁判所による調停又は審判での解決になります。この手続きを相続人本人に代わって行えるのは弁護士だけです。

代理人を選任せずに、相続人本人で裁判を進める事も可能ではありますが、法的な判断や法的な書類の作成が必要となり、弁護士抜きで手続きを進めることは困難で、自分に不利な結果を招く恐れがあります。

その為、相続人間で争いが生じた場合は、弁護士に代理してもらうことが相続手続きを進めていく前提と言え、このような場合には弁護士に相続手続きを依頼する必要があります。

なお、争いが顕在化してしまうと行政書士や司法書士(一部代理できる分野はあります)に依頼することはできません。まれに、受任する行政書士、司法書士がいますが、違法な行為になりますので、依頼は控えた方がいいでしょう。

裁判まで至っていない場合も弁護士に

裁判を行う場合は、必ず弁護士に依頼した方が良いと上記で説明しましたが、裁判に発展していなくても弁護士に依頼した方が良い場合もあります。

まず、相続人間で争いになりそうな場合です。相続人間で相続の方法で意見の食い違いが生じたような場合に相続人だけでは、法的な判断が難しい場合は多いと思います。そのような場合に、第三者であり、また法的な判断が行える弁護士を介入させることは、その後の紛争化の予防につながります。

この場合に、気を付けておきたいのは、相続人の1人が依頼した弁護士の場合には、当然依頼主に有利な交渉をしますので、そのような場合には、相続人自身で弁護士に依頼した方が良いでしょう。

なお、相続人の間に入り、法的な判断を行う場合も行政書士や司法書士は業務を受ける事ができないので弁護士に依頼する必要があります。

弁護士に手続きを依頼するメリット

上記のように、相続人間で争いが生じている場合や、争いが生じる可能性が高い場合は弁護士への依頼が必須となりますが、それ以外で弁護士に相続手続きを依頼するメリットは何か。

まず、大きなメリットとしては、相続手続き完了後の相続人同士の紛争の防止になります。弁護士が介入すれば当然、紛争を予期し、対策を考えてもらえます。また、リスクがある場合は予め助言をもらうことができます。

更に、仮に相続人同士で争いに発展しても、それまでの状況を把握していますので、その後の裁判などで相続人及び弁護士の手間が減ります。

紛争の予防から、紛争の解決まで一括して依頼できるのが、弁護士に依頼する大きなメリットです。

弁護士に依頼するデメリット

それでは、弁護士に相続手続きを依頼するデメリットはなにか。
一番のデメリットは、報酬が非常に高額になることではないでしょうか。

行政書士や司法書士の相続手続きの報酬に比べて、弁護士に依頼する場合の報酬は著しく違います。
多くの場合、1桁違うのが当たり前です。

裁判が絡む相続手続きや、紛争化の危険性がある相続手続きの場合は、業務自体に専門性が高く、その報酬が高額になってしまうことは避けられません。しかし、相続人間で争いになる危険性がなく、そもそも相続人が1人で紛争化する可能性がない(遺言がある場合はこの限りではない)場合に、相続手続きを依頼するには、とても報酬の相場が高いのが弁護士です。

そのような場合には、行政書士や司法書士に依頼する方が圧倒的に報酬が安く済むので、その点頭に入れておいた方が良いでしょう。

どこに依頼するか迷った際は

弁護士の相続手続きについて、ここまで説明してきましたが相続手続きを依頼する場合に、その選択のポイントを説明しておきます。

繰り返しになりますが、相続人同士で相続に争いが生じている場合は、必ず弁護士に依頼してください。他の士業では対応することはできませんし、相続人自身で解決しようとしても悪化するだけです。

そして、未だ紛争化していなくても、今後紛争化の恐れがある場合、または将来争いにならないようにしっかりと相続を進めていきたい場合も弁護士に依頼することをお勧めします。

それ以外で、特に相続人間で問題がない場合は、行政書士や司法書士に依頼した方が良いかと思います。

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